暑熱順化とは?読み方や”やり方”について

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暑熱順化とは?読み方や”やり方”について

冷房の影響で室内と外の温度差が大きくなる夏は、体温調節が難しくなる季節です。急な温度変化に対応しきれず、熱中症や夏バテに悩む人も多いでしょう。このような健康問題を防ぐためには、体を徐々に暑さに慣らす「暑熱順化」が効果的です。この方法を実践することで、外気温に応じて体温を調整し、夏の暑さに耐えられるようになります。

目次

暑熱順化とは?読み方は?

暑熱順化(しょねつじゅんか)とは、体を徐々に暑さに慣れさせるプロセスのことで、「暑熱順応」とも呼ばれます。通常、冬から夏への季節の変わり目に体は自然に暑さに適応していきますが、現代では冷暖房の普及により、この順応機能が低下している人が増えています。専門家によると、熱中症の増加の一因は、暑熱順化が不十分であることが指摘されています。

発汗の重要性

暑熱順化において最も重要な要素は「発汗」です。発汗は体温調節に欠かせない機能で、汗をかくことで体内の熱を放散します。特に冷え性や運動不足、水分不足の人は発汗が少なく、暑さに順応しにくい傾向があります。年齢とともに発汗機能も衰えるため、定期的な運動や適切な水分補給が重要です。

発汗と体温調節

発汗によって熱が体外に逃げる仕組みは、汗が蒸発する際の気化熱を利用しています。体が暑いと感じるとき、発汗によって熱が外に逃げ、体温が調整されます。また、暑い夏にカレーを食べたくなるのは、発汗によって体の熱を放散したいという心理的な理由もあるかもしれません。

皮膚血流反応

発汗以外にも、体温調節には皮膚の血流が関与しています。皮膚の血管が拡張し、血流が増えることで熱が体外に放散されます。このため、入浴後すぐに服を着ると体が冷えるのを防ぐことができます。

効果的な暑熱順化の方法

暑さに強い体を作るためには、夏本番になる前からの準備が大切です。ウォーキングなどの有酸素運動は、発汗と皮膚血流反応を促進するため、暑熱順化に最適です。短時間のウォーキングでも効果があり、朝や夕方の時間を利用して手軽に始めることができます。慣れてきたら、運動量を徐々に増やし、暑さに順応できる体を作りましょう。

暑熱順化のやり方についてご紹介

ウォーキング

「発汗」と「皮膚血流反応」を促進するためには運動が最も効果的で、手軽に始められるのは「ウォーキング」です。有酸素運動の一つであるウォーキングは、「20分以上続けなければならない」と思われがちですが、最近の研究では短い時間でも効果があることがわかっています。また、少し速いペースで歩くことで全身運動になり、ランニングと同等の運動効果が得られます。朝の仕事前、子どもの送迎後、買い物の往復、夕食後など、自分のライフスタイルに合わせて10分間のウォーキングを取り入れてみてください。慣れてきたら、距離や速度を徐々に増やしていきましょう。

サイクリング

疲れにくい「サイクリング」は、運動初心者にもおすすめです。汗をかくまで少し長めの時間をかけると効果的です。風景が美しい河川敷沿いのサイクリングロードなどを利用すると楽しく続けられます。変速機がついている自転車は、ギアを少し重くしてみたり、軽くして足を速く回したりすることで運動効果が高まります。自転車を使用する際は、ルールを守り、歩行者や車にも十分注意しましょう。

筋トレ

「筋トレ」は、雨の日や忙しい日でも短時間で実践できる運動です。筋肉量が増えると血行が良くなり、「皮膚血流反応」や「発汗」が促され、汗をかきやすい体になります。筋トレは週2〜3回、1回20分を目安に行いましょう。毎日異なる部位を鍛えると全身のシェイプアップにもなります。「今日は腹筋、明日は大臀筋」といったように部位を意識して鍛えると楽しいですよ。初心者には「プランク」もおすすめです。まずはプランクから始めてみましょう。

入浴

夏はシャワーで済ませる人も多いですが、しっかりとお風呂に浸かることが暑熱順化には重要です。体を芯から温めることで深部体温が上がり、汗をじっくりかけるようになります。1日2回の入浴が理想です。38〜40度のぬるめのお湯であれば20分以上、41度を超える場合は5〜10分を目安に浸かりましょう。十分に汗をかいたら水分補給を忘れずに行ってください。

サウナ

サウナは、入浴よりも高温の環境で発汗を促すため、汗をかく能力を高めるのに非常に効果的です。サウナに入ることで血流が通常時の2倍になり、発汗も大量に促されます。これにより、体の隅々まで酸素や栄養が行き渡ります。また、サウナ特有の「ヒートショックプロテイン」効果により、免疫力も向上します。サウナの魅力については特集ページをご覧ください。

冷房に頼りすぎない

気温が上がると冷房を使いたくなりますが、涼しい環境にばかりいると体が暑さに弱くなります。次のポイントを意識して冷房に頼りすぎないようにしましょう。

  1. 冷房の温度を28度前後に設定する。
  2. 朝夕は外気を取り入れる。
  3. 冷房の連続使用を避ける。

暑熱順化トレーニングの始め時

夏前からの準備が理想的ですが、始めたいと思ったその日がスタートに最適です。体は暑さや寒さに急に順応できないため、暑熱順化には1〜2週間ほどかかります。5月頃からトレーニングを開始すると、夏本番前に発汗しやすい体が出来上がります。もちろん、夏に入ってからでも効果があるので、今からでも少しずつ運動を始めてみてください。

暑熱順化トレーニングの効果

暑熱順化トレーニングの効果は個人差がありますが、一般的な運動量であるウォーキングやサイクリングを続けて発汗すると、1〜2週間で効果が現れます。夏のイベントをバテずに楽しむためにも、「発汗習慣」をつけましょう。筋トレやジョギングなどの高負荷なトレーニングでは、数日から1週間程度で効果を感じることもあります。夏のスポーツイベントに備えて、1週間前から準備すると良いでしょう。

暑熱順化トレーニングのメリット

暑熱順化トレーニングを通じて、体だけでなく心身にも嬉しい効果があります。

筋肉量の増加と病気の予防

筋肉は運動機能だけでなく、糖と脂質の代謝を助け、血糖値の上昇を抑える役割も持っています。筋肉量が増えることで健康寿命が延びるという研究もあります。運動を通じて筋肉をつけることは、健康を保つために重要です。

血流改善と体調の向上

発汗習慣は血流を改善し、冷え性や肩こりの解消にも役立ちます。夏でも足先が冷たいといった「冷え性」が改善され、肩や腰のこりがほぐれます。

美容効果

汗をかくことで毛穴の老廃物が取り除かれ、ターンオーバーが促進されます。汗と皮脂が混じり合い、天然の保湿効果もあります。運動をしている人の肌が潤っているのはこのためかもしれません。血流が良くなることで、体全体に栄養素が行き渡り、内側からも美容効果が得られます。

リラックス効果

運動にはネガティブな気分を発散させ、心と体をリラックスさせる効果があります。入浴も筋肉や緊張を和らげる効果があり、運動と合わせることで心身共にリフレッシュできます。

まとめ

暑熱順化のために運動を始めることで、心身の調子も整い、健康寿命が延びる効果があります。夏に負けない体づくりをきっかけに、一年中快適に過ごせるようになるでしょう。夏バテは体の機能が低下しているサインかもしれません。最近夏がつらいと感じる人は、少しの運動から始めてみませんか?

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