小さくても存在感が際立つのが、『千と千尋の神隠し』に登場するネズミとカラスのキャラクターです。映画中でぽっちゃりしたネズミが小さなカラスに持ち上げられるシーンは、多くの視聴者に笑いを提供しました。
この二つのキャラクターは、映画内で特に心温まる存在として描かれており、その魅力的なコンビについて深く掘り下げてみる価値があります。
ネズミとカラスのキャラクターは[坊]と[湯バード]が正体!
『千と千尋の神隠し』で印象的なシーンの一つは、千尋とカオナシが電車に座っている場面です。
そのシーンにさりげなく登場するネズミとカラスは、実は坊と湯バードという正体を持っています。ネズミの正体が坊で、カラスは湯バードであるとされ、彼らにはそれぞれ坊ネズミとハエドリという名前が付けられています。
湯バードは特にユニークな見た目をしており、ハエと鳥が融合したような姿で描かれていますが、その顔は湯婆婆のもので、不思議で少し怖い印象を与えます。普段は湯婆婆の手下として湯屋で働いているとされています。
なぜ坊はネズミ、カラスはハエドリになったのか?
坊と湯バードが変わり果てた姿で登場する理由は、湯婆婆の姉、銭婆との関連が深いです。
銭婆の魔法が影響していることが示唆されています。具体的には、湯婆婆の弟子であるハクが銭婆の契約印を盗んだ事件がきっかけで、ハクは銭婆のまじないにより苦しむことになります。
その過程でハクにくっついた銭婆の式神が湯屋に戻る際、銭婆が現れ、その場にいた坊が銭婆を湯婆婆と間違える一幕があります。
この混乱の中で坊と湯バードにかけられた魔法は、銭婆が湯婆婆に対する警告や懲罰として行ったもので、必ずしも彼らを苦しめる意図ではなかったとされています。
この魔法は時間が経過すれば解ける性質のもので、銭婆にとっては湯婆婆に対する一種の戒めだった可能性が高いです。
なぜネズミとカラスが元の姿に戻れるにもかかわらず、戻らなかったのか?
銭婆の家での一幕において、銭婆が坊ネズミとハエドリに向けて「あんたたち、魔法はとっくに切れてるだろう」と発言するシーンが存在します。この魔法は一定の時間が経過すれば解けるタイプで、本人たちが元の姿に戻る意思を持てば自然と解けるはずでした。
にもかかわらず、坊と湯バードは元の姿に戻らなかったのです。坊ネズミにとって、元の大きな体に戻ることは外の世界を自由に楽しむことができなくなるというデメリットがあり、彼はネズミの姿での自由を楽しんでいたためです。また、外の世界を探索することに喜びを見出していた可能性も考えられます。
湯バードに関しては、物語の終わりまで元の姿に戻らず、これが彼が以前のように湯婆婆に重労働を強いられる生活に戻りたくないという願望を示しているかもしれません。このように、彼らが元の姿に戻らなかったのは、それぞれが現状を好んでいたからと言えるでしょう。
まとめ
坊ネズミは、ネズミの形であれば外の世界を自由に探索し楽しむことができるため、元の大きな体に戻ることを望んでいないと考えられます。
湯バードについては、物語の最後まで元の姿に戻っていないことから、湯婆婆にこき使われた過去の生活に戻りたくないという意思が強いと思われます。このため、彼らは魔法が解けた後も元の姿に戻らず、新しい姿での生活を選んでいるのかもしれませんね。